閉塞感を抱える世界と、変えられない商習慣

      2013/07/21

墨田区の町工場についての調査が進行中です。上記はそれにまつわる色々。

日本のものづくりが消えつつあるという感覚は、町工場の数が減っているという事と連動しています。では、その町工場がなぜ減っていくのかというと、わかりやすい所で言えば「職人の高齢化による引退」であったり、「海外へ仕事が流れてしまって事業が成り立たなくなった」であったり、なんとなく皆さん感じている部分はあるかと思います。

高齢化による引退についても、結局はなぜ後継者が育っていないのかというと、事業が成り立っていない為にその仕事をやりたいと思う若者が出てこないというような経済的な理由がある訳です。

なぜ事業が成り立たなくなってしまうのだろう

調査を行なっていく中で感じている事が一つあります。

閉塞感を抱える多くの町工場の人たちは、自分たちのビジネスモデルを変更する事が出来ていない。

リバネスにとって仕事というのは、自ら作り出すものであり、企画から営業から何から何まで自分たちでやるのが普通なのですが、古くから町工場でくってきた人たちというのは、そういう習慣がありません。「仕事はやってくるもの」なのです。

いわゆる「下請け」という企業の最たる例が町工場だったりするのですが、彼らが閉塞感を感じている理由は、古くからの商習慣によって自らのビジネスが立ち行かなくなるという事を感じていながらも、そこを打破する方法が浮かんでいないという事にありそうです。

一方で、若い二代目がいる会社はどうかというと

二代目、三代目といっても、30台以下かそれ以上かで傾向が結構変わります。今時の30台はたいてい大学を出ていますし、若い頃から町工場に入りっぱなしで外の世界を知らないという事もありません。

逆にそれ以上の世代になるとどうかというと、意外と保守的で職人気質。先代と同じような考え方で仕事をしているので、まだまだ若いのだけれどもがく方法を知らないという感じがあります。

1社に依存するビジネスを展開していると、元請けの景気におもいっきり左右されます。リスクを分散することが出来ません。しかし、今までがそうだったからと、そこから変わらずにいる会社もなくは無いのです。

新規顧客を開拓するにはどうしたら良いか。今までやったことが無い事だからと手を出していない。助言をする人もなかなかいなかったりする。そこが閉塞感につながる。逆に、外の世界をちょっとずつ広げていくという事を知っている人がいるだけで、ビジネスに閉塞感がありつづけるという事はなく、前向きに仕事を続ける事が出来るような気がしています。

当たり前が当たり前ではない世界

こういう閉塞感をみて脳裏をかすめたのは、博士の世界にも似たような事があるなというものでした。リバネスでは、若手研究者応援プロジェクトというものを展開していますが、これはもともと理系の高学歴者は外の世界を知らずに苦しんでいるという考えがあったからです。

色々な世界を知ることによって、自らの生き方を模索が出来る。

色々な世界があるのだということを知ることが出来れば、今ここで何かを成さねば生きていけないのだというような自分を責める方向に感情は向かないはず。

もっと外をみてイノベーションを産もうじゃないか。そんなことを実践している経験がオーバーラップしたのです。

ちょっと違う位置にいる人から見たら当たり前の事が、全く当たり前ではない世界。こういう世界はまだまだ色々な所にあるのでしょう。

まだまだ調査は始まったばかりですが、この数ヶ月でたくさんの情報を発信出来るような気がしています。

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