創業から12年経って考えた、スタートアップに大事な12の事

      2014/06/19

ついこの間の6月14日でリバネスは創業より12年を迎えました。そんな中で、振り返りを行ってみて、スタートアップに大事だなと思うことをまとめてみました。

1:ビジョンは大きくブレないものを

最初に持ってきましたがこれが一番大事だと思います。人って、人の周りに集まるというのは基本なのですが、それだとカリスマみたいな人が死んだら組織はおしまいになってしまいます。

スタートアップは何があるかわかりませんから、人ドリブンで動くというよりは、ビジョンドリブンで動く組織は強いのではないかと思います。

リバネスで言うと「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というビジョンを掲げています。

2:同じ船に乗るという意識を共有すること

弊社はスタートアップにも関わらず、離職率が低いのが特徴です。
12年間で数名という所です。

創業初期から、年に何度か確認する事ではあるのですが、自分たちが同じ船に乗っているということを意識させる機会があります。

今は一隻の船でも、将来船団を構えるようになります。その時の船頭は今ここにいる皆だよね、と。

事業に対するオーナーシップを持って活動を行うことで、ある事業をスピンアウトさせるという事が可能になってきます。

3:多様性を許し、会社の事を語らせること

これは、人も事業もです。

初期のリバネスは「バイオ教育のリバネス」というコピーをつけていたので、僕自身がそれに縛られていたのですが、その後「最先端科学のリバネス」というコピーに変えたことで様々な事業展開に発想が至るようになりました。

ビジョンともかぶる部分はあるのですが、人材のバックグラウンドを多様化する事で、事業展開の幅をもたせるというのは、生存戦略として大事なことだと感じます。

何しろ事業というのは波があるもので、ある一つの事業が良い時に、他も全て良いという訳でもなく、社会的な要請だったり、景気だったりに左右されてしまいます。

1で決めたビジョンを達成する方法は、いま集中している一つの方法しか無い訳ではなかったりしませんか?

大きなビジョン程、達成するには時間がかかります。壮大な世界観を達成するには、事業の継続性が担保される仕組みが必要です。

それはなにか。多様性をゆるし、時代とともに成長するチームをつくるという事ではないでしょうか。

12年目になり、リバネスは「知識プラットフォームのリバネス」を掲げようとしているところです。

こうしてビジョンを共有したスタッフは、自ら色々な場所で自社の事を語り始めます。

今年、入社するか留学するかで悩んでいた女性が一ヶ月バイトで働いてきた事を振り返っての言葉が印象的だったのですが、

「私はここに来て、初めて自分の会社のこと(つまりリバネスの事)を友達に自慢したいと思いました」。と言ってくれました。

僕自身はあまり意識しては来なかったのですが、外でどんどん語らせる。その為のインプットを積極的に行い、それを続けることは非常に重要です。そうすることによって、社員が友達を引き込んでくれたりと、採用コストが下がりますし、クライアントも広がっていくのです。

4:離職者をないがしろにしないこと

色々な事情があって、離職する訳ですから。
家族の事情があれば、自分の夢があったり、能力の不足を感じるとか、本当にやりたい事が見つかったけど今ここでは出来ない!とかあるのです。

そういう時にリバネスがどうするかというと、本気で向き合います。

何がやりたいのか、離職後の就職先は決まっているのか、決まっていなければ探したりします。

何故かというと、リバネスは「Leave a Nest(巣立ち)」という名前から来ている組織です。
関わる全ての人を巣立たせるという思想があるからです。

ついでに言うと、我々は「巣」を作っています。

巣には、色んな人がいる訳ですけど、一度羽ばたいていってもそのうち戻ってきたりするんですよ。

社外で経験を積んだ人材が、またリバネスに新しい価値を提供してくれる日がやってくる。そう思っているので、支援するんですね。

周年パーティーには必ず呼びますし、お互いKeep in touchし続ける環境というのを維持する事にも気を使っています。

5:接点を出来る限り作っておくこと

離職者にも関係する事です。

弊社インターンシップ生を毎年輩出している事もあり、結構な人数が毎年Leave a Nestしていきます。

最近は海外からインターンシップに来るパターンもあったりで、全てが上手に出来ているという訳ではないのですが、リバネスに顔を出す入り口を作っておくということは大事だと思います。

先ほど書いたように周年パーティーのようなイベントだったり、年度末に行っている超異分野学会という誰でも参加OKなイベントだったり、新オフィスにはI2K(知識創業研究センター:http://i2k.lne.st )というスペースを作って、セミナーの開催等を行ったり。先日行ってきた田植えや、小学生向けイベントの理科の王国にスタッフとして参加要請したりとか。色々とチャンスがあります。

真面目なモノ、大人数集まれるもの、小さめのセミナー、軽い気持ちで参加出来るものなど様々ですが、それを発信し、参加を促し続ける事でコミュニケーションが生まれます。

コミュニケーションが生まれれば、その中からまたリバネスに戻ってきたりもするのです。

コミュニケーションをうむための接点作りは意識的にやって良い事でしょうね。

6:スタープレイヤーを複数作る事

この分野はこの人!と言うのは、組織に安心感をもたらします。

初期で言えば代表の丸が神がかり的な人寄せを行う事ができるという部分に頼ってきました。(今ももちろん恩恵は受けています)

カリスマを作るのではなく、スタープレイヤーを複数作る。これ大事だと思います。

僕の場合は一時期ソーシャルメディアだったら、とか。やってましたね。今はResQueを始めた事によってクラウドソーシング界隈なら僕です。

植物工場なら誰とか、学校教育なら誰とか、アナゴのことなら誰とか。弊社は多様性に富んでいます。

7:人材採用は慎重にすること

何が慎重かって、分からないんですけどね。採用大事だと思います。

ビジョンが共有できるか、同じビジョンの素養を持っている事を見極められるか。

ものすごく有能な人でも、ビジョンに共感出来ない人だったとしたら、条件が良い提案が来た時にすぐに船を降りてしまいます。

苦しい時も、幸せなときも…って結婚式のあれじゃないですが、一緒に船を漕いでくれる人なのかを見極めるのはとても重要です。

次に、やっぱりある程度の能力は必要かもしれません。組織が思い浮かべている成長スピードに耐えうる人材なのかどうかについては問うてみる必要がありそうな気がします。まぁ問われても分からないだろうとは思うのですが。この辺りについても、ビジョンを共有できているかどうかによって、結果がかなり変わってくるのではないでしょうか。

8:しっかりと育てること

リバネスは立ち上げ当時は全員が学生だったので、インターンシップという形が根付いているのですが、その中で人材育成の教育課程を持っています。

サイエンスブリッジリーダーという育成過程なのですが、とにかく人の育成に関しては投資をしています。

手間も時間もかかるし、毎年アップデートしているし、本当にコストがかかっているのですが、それを続けています。

インターンシップの育成系は、新入社員の育成系にも適用されるため、仮にインターンシップで卒業レベルに達した人が入社すればそれは即戦力を意味する訳です。

リバネスではやっとこ最初の三年の育成系が完成しました。今は次の三年の育成系にとりかかっています。

多分、こうやって自分たちがやってきた取り組みを決算し、良い物をピックアップして濃密に教える事が出来ないと、組織のスピードアップは出来ない。毎年同じ位置から同じスピードで走っても、たどり着ける距離は伸びませんからね。

9:一つの取引先に依存しないこと

ありがちなもので、僕もかつてやらかした事ではあるのですが、一つの取引先に依存しないこと、一つのビジネスのみに依存しないことはかなり重要です。

一つのものしか食べられない生物は、食物連鎖が狂った時に絶滅するしかありません。

栄養源を多様化し、天変地異がおきた時にもちょっとお腹が空くくらいのイメージで、死滅しないようにするのです。

今掲げているビジョンは、天変地異が起きない間に達成出来るようなものなのか、真剣に考えるべきでしょう。

生存戦略として一つの取引先に依存するということはあり得ません。

多くの取引先と信頼関係を築き、リスクヘッジをするのです。

10:泥臭いことをやること

何事もスマートに見せることは出来ます。

でも、実際は泥臭く色々な事を仕掛けなければ世界は動きません。

人は誰しも泥臭いことをやりたがらない訳ですから、それはすなわち参入障壁となるのです。

今やっていることをスマートにやり遂げるという事を考えているのであれば、それは気づく人からみれば捕食対象です。

誰しもがやりたがらない事がビジネスの根っこに入っていれば、それはものすごいアドバンテージを持っていると言えるでしょう。

「それ凄いね!」って本気で感じさせる事ができる。それは競争力になります。

リバネスで言えば、インターンシップを12年間ずっと続けていたり、昨年度で言えば墨田区の町工場3600社をくまなく訪問したり、毎年ものすごい数の研究者にインタビューして媒体に発表していたりと、本当に手がかかる事をやり続けています。これがない企業は厚みが出ないような気がします。

11:仕事のバランスを意識させること

リバネスでは「リーダーシップワーク」「トレーニングワーク」「ルーチンワーク」という3つの仕事を意識させています。

それぞれ、自分がやりたい事を実現するための仕事、自らのスキルを伸ばすための仕事、飯の種というイメージ。

ルーチンワークは、どんどん効率化した方が、安定した収益を達成しながら、自己実現に時間を突っ込めるようになります。

自らの陳腐化を招かないためには、トレーニングが必要ですし、やりたい事ばかりやっていては他が疎かになります。

組織が何によって成り立っているのかは、自らの仕事のバランスを考えることによって意識されるようになります。

12:仲間を大切にすること

ここまで色々書いて来ましたが、結局は人です。

人を導く仕組みです。

お互いにリスペクトを忘れず、新入社員から学ぶことなんていくらでもあるよと誰もが思っているという状態です。

たとえば100年後の会社を考えてみてください。自分たちがやってきたことの経験値の差なんて誤差ですよ。

そんな事より、仲間を大事にし、お互いの面白い部分を引き上げて行くことが出来れば、100年後にはより大きな何かを達成できているかもしれません。

大きな目標を達成するには、仲間を大事にする事が出来る仕組みが必要です。それが何なのかは、きっと考えるに値すると思います。

 

番外編

ex1:ドメインは短いほうが良い

初期のリバネスは @leaveanest.com というドメインを使っていたのですが、これが電話口じゃ伝わらないんですね。

リバネスで検索してくれと言うのは簡単なのですが、それじゃ失礼にも感じる。とかいうシチュエーションはあります。

ドメインは短めに。そして伝えやすいアルファベットを選びたいです。エルとかエムとか、電話口だと伝えづらかったりします。

ex2:代表の信頼感大事

最初の5年位でしょうか。リバネスには「丸のルーツを探せ」というイベントがありました。

こんな会社やってますけど、いつ代表が逃げるかわかったもんじゃないだろ?ということで、丸の実家でバーベキューをやりましょう。というイベント。

夜逃げしかねないというのは半分冗談ですが、家族ぐるみで付き合うぜというのは、悪くないアプローチだったと思います。

 

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