できるだけ安価に、良質な遠隔コミュニケーション環境を作りたい<試行錯誤編>
2017/01/05
今仕事でシンガポールにいます。書き始めたのがマレーシアからシンガポールに行くフライト前だったのに、終わらなかったのでした。ということで出だしはマレーシアにいたという事にしてお読みください。
なぜマレーシアに来たのかというと、この9月からリバネスマレーシアに二人の現地スタッフがjoinする事になり、その様子が気になったのと、沖縄・熊本・アメリカ・シンガポール(そしてUK?)に常駐スタッフができるものの、単独拠点となるために孤立感に苛まれないようにできることがあるのではないかと考え、その為には現地を知る必要があったからです。
無料で使えるリアルタイム通信環境について
リバネスでは昔からGoogleHangoutsを使っていますが、その他にもSkypeといった老舗だったり、appear.inだったりと、色々なリアルタイム動画通信サービスが存在しています。
先程書いたように、拠点が散らばっていますのでミーティングをオンラインで繋いで行う何ていうことは普通にあります。そこで使うのがこういったサービスです。
現状のリバネスの課題感:遠隔会議編
GoogleHangoutsは、全員が別々の場所にいて(*ここが重要です)、各々のWebカムとマイクで一同に介する場合はとても有用です。
カメラとマイクという入力インターフェースが1対1の関係になっており、この場合は安い機材でも比較的良く映像と音声をネットワークに載せてくれます。
しかし、会議をやるということは、リバネスで言うと東京本社及び大阪事業所のメンバーが多いので、これらの拠点メンバーを含むプロジェクトでは人数が肥大化します。つまり、入力インターフェースは1なのにそこに入ってくる人数がn人になるという事になります。
例えば、通信を担当する端末がその場にいる誰かのMacBookPROだったとすると、MacBookPROを使っている人の顔がずっと映ることになります。もちろん、その人がマシンを通信専用に使っていれば、一番全員がカメラに映る場所にマシンをおけば相手は室内の様子が見えるようになるのですが、MacBookPROのWebカムでは会議室にいる全員の顔を把握するということは難しいと言わざるを得ません。
そして、音声についてですが、音声はそのマシンを中心にした同心円状の感度となるために、MacBookPROから遠い人の声は拾えなくなってしまいます。極端な話をすると、端末から全員が同じ距離および同じ声量で話していないと声がうまく拾えなくなってしまうのです。声の小さな人の声が遠隔地に届かないということが起こります。これがまたストレスですね。
会議中につなぐ時の端末は、その場にいる誰かのものを使うという場合が多く、マシンスペックにムラがあるために、音声処理が出来ない端末だと早口で話していると声が聞き取れないという事が起こりえます。
拠点Aで誰かが話をしたとすると、拠点B(良いマシン)では問題ないのに、拠点Cではいまいち聞こえてこないという事が起こっています。(これについてはちょっと定かではないのですが、もしかすると入力側の処理の問題で弱いマシンが入力だと処理が出来ずにどこの拠点も聴こえないみたいなことになるのかもしれません)
課題解決について問題点の整理
実は、先にも話した通り、GoogleHangoutsは1対1対1対1...の様なシチュエーションでは上手く動いてくれます。しかし、n対1対1対1のような環境だとn(つまり会議出席者のマジョリティ側)の入力環境を良くしないと、その他の1対1対1側に上手に情報が流通せず、対等な関係でミーティングが行えているとは到底言えません。
すべての課題はn人に成り得る場所にあり、そこについての解決策を考えることで多くのことが解決するように感じます。
具体的にやるべきことは何か
- 通信専用端末をn人拠点に配置する
- n人が会議中に遠隔地のメンバーの顔が見えるように、専用のディスプレイを配置する
- カメラのインプットがWebカムだと限界があるのでパノラマカメラを利用する
- 音声のインプットがPC本体内蔵のマイクだと限界があるので、会議用のマイクを幾つか配置する
こんな感じです。
通信専用端末をn人拠点に配置する
これは恐らくマストです。これがあることによって、会議参加者は自分の立ち位置を気にする必要がありません。スペックも整いますし、十分にテストした環境を提供できるようになります。
端末は現在Chromebitを使ってテストしているのですが、動画配信が止まってしまうというハプニングに見舞われています。本体を触ってみると相当熱くなっていますから、熱暴走の類なのではないかと思っているのですけれど、メモリ(2GB)が足りていなかったりといったような問題がありそうです。小さくて良いのですが、恐らく接続時間に限界がありそうです。(というより、数分で切れちゃうことが多いのですが…)
これを踏まえてみると、若干大きさは大きくはなりますが、macMiniがちょうどよい金額感とスペックな気がしていますので、今度はこちらを試そうかなと思っています。
¥16447〜¥56800
通信専用ディスプレイの配置
何故これが必要かというと、遠隔地側の表情が見えないんですよね。きちんとディスプレイを別に準備することで、その人の存在をその中に感じることが出来ます。可能であれば人数分のディスプレイを配置するのが良いとは思いますが、それが出来ないこともあると思いますので、取り敢えず一枚あればよいでしょう。誰の目にも入る少し高い位置に設置するのが良いと思います。
27インチで2万円を切るようなディスプレイがあって本当に驚きです。そりゃテレビ事業から撤退するわ…と感じました。
¥18200〜
カメラのインプットがWebカムだと限界があるのでパノラマカメラを利用する
これが実はソリューションが一つしかないので困っています。
Panacast: http://getpanacast.com/
3つのカメラが水平に取り付けられており、パノラマ映像の取得が出来ます。SkypeやHangoutsでも使えるとうたわれており中々ナイスです。
他にも似たようなソリューションをご存じの方は是非教えてください。
音声のインプットがPC本体内蔵のマイクだと限界があるので、会議用のマイクを幾つか配置する
*IDは社内的な管理番号なので気にしないでください。
マイクは増設できると広い部屋でもバッチリという感じになります。声の小さい人の目の前にマイクを配置しましょう。大きな声の人はケア不要です。
常時接続してオフィスをコネクトしてみる
これは、会議での利用ではなく、お互いのオフィスの様子を配信しあう事で、遠隔のオフィスであっても顔が見えたから声かけましたみたいなことが可能になると良いなという取り込み。
シンガポールオフィスからみたとある日曜日のオフィスの様子。
生活音やら話し声等が聞こえるのと、顔が見えるのは悪くない。うるさいと断じてしまうとそれまでかも知れないが、その辺は音量調節でなんとかしてもらうのが良さそう。
あと、東京オフィス側のマイクの性能が良くないと、こもった音になってしまってイマイチ聞き取りづらくストレスになる。マイクは割りと重要なファクターだ。
先にも書いたがChromebitだとChromebit側の受診はやってくれるようなのだが、Chromebit側からの配信が辛い。音声は来るが映像が来ないということが頻発する気がする。
このキャプチャはiMacのHangoutsから配信されている画面をキャプチャしたものだ。
恐らくこんな感じで行けるのではないかと予想
という訳で、この二ヶ月間、色んな事を試してみてたどり着いた結論がこんな感じになっています。
因みに、マレーシアオフィスとシンガポールオフィスのスピードテストの結果はこちら。特に通信環境は問題なさそうなので、デバイスのスペックによって安定性が決まるような気がしている。Mac miniでうまくいくと良いな。
下りより上りの方が早かった pic.twitter.com/y1CpfOEsGI
— 吉田丈治 リバネスCIO (@geeorgey) 2016年10月4日
2016/10/05 08:49 @ KL まだ早い時間だからか、昨日より早い pic.twitter.com/aEXRykuy8A
— 吉田丈治 リバネスCIO (@geeorgey) 2016年10月5日
2016/10/9 12:41 @シンガポールオフィス pic.twitter.com/M3mJ0SZBSR
— 吉田丈治 リバネスCIO (@geeorgey) 2016年10月9日
できるだけ安価に、良質な遠隔コミュニケーション環境を作りたいシリーズ
- できるだけ安価に、良質な遠隔コミュニケーション環境を作りたい<試行錯誤編>
- できるだけ安価に、良質な遠隔コミュニケーション環境を作りたい<中間発表編>
- できるだけ安価に、良質な遠隔コミュニケーション環境を作りたい<完結編>