六次化育成二日目:モジュール1:食品加工と衛生管理
土田技術士事務所 土田 茂
食品の品質、安全性に関する法令
- 厚生労働相 食品衛生法
- 農林水産省 植物検疫法
- 農林水産省 家畜伝染病予防法
- 農林水産省 農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
- 内閣府消費者庁 製造物責任法
- 内閣府消費者庁 食品安全基本法
- 厚労省 健康増進法
- 地方自治体 都道府県条例 市町村条例
食品衛生法とは?
食品の安全性の確保のために、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図るための法律。
大きな法改正
- 食品添加物は天然・化学合成どちらも表示を義務化(H1)
- 遺伝子組換え、アレルギー物質の表示義務化(H13)
食品とは、すべての飲食物を指す(ただし薬事法の範疇を除く)
是正措置及び罰則(71条)
- 是正措置は営業停止、禁止、廃棄命令
- 違反の場合の罰則は3年以下の懲役、300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金。
飲食に起因する衛生上の危害とは
- 有害微生物・有毒食品
- 金属製の異物
- 金属以外の異物
- 有毒・有害物質の混入・汚染
- 昆虫・ねずみなどの生物
有害微生物(食中毒菌)・有毒食品
- 食中毒菌
- 小型球菌ウイルス(SRSV、ノロ)
- カビ毒(マイコトキシン)を生成するコウジカビ(アスペルギルス・フラバス)
- 貝毒、フグ毒、きのこ毒等
防止するには?
- 食品衛生管理の基本を確実に守る
- 食中毒菌防止の三原則。つけない、増やさない、殺菌する
異物とは
食べられない物全般のこと
防止策
工場に持ち込まない等
X線の異物検査装置を使う
有毒・有害物質の混入・汚染
- カドミウム:イタイイタイ病
- ヒ素
- 有機水銀
- PCB
- ダイオキシン
- BSE
等
虫、ねずみなどの生物的危害
- 昆虫、ネズミの毛・糞などの混入は毛髪や爪片の購入と同様に非衛生的。
- サルモネラ菌の感染や帰省中の媒介となる
- 防虫、防鼠対策
- 工場内の5S
- 内部発生の昆虫は発生源を除去
- 侵入生の昆虫は窓の網戸、防虫カーテン、二重ドア
- 粘着式トラップ、フェロモントラップ、殺虫剤、ケージトラップ、超音波
食品衛生管理に基づく営業許可
営業許可を受けるには、「知事が定めた施設基準に合致した施設を作ること」「手数料と共に営業許可申請をすること」が条件
許可業種34種
下記に該当する場合は、届出が必要ですよ。
届出の前に、健康福祉センター(保健所)に相談しましょう。施設つくってしまってからの変更は大変です。
- 飲食店
- 喫茶店
- 菓子製造業
- あん類製造業
- 乳処理業
- 特例牛乳搾取処理業
- 乳製品製造業
- 集乳業
- 乳類販売業
- 食肉処理業
- 食肉販売業
- 魚介類販売業
- 魚介類せり売り営業
- 魚肉練り製品製造業
- 食品の冷凍又は冷蔵業
- 食品の放射線照射業(ばれいしょの発芽防止加工のみ)
- 清涼飲料水製造業
- 乳酸飲料製造業
- 氷雪販売業
- 食用油脂製造業
- マーガリン又はショートニング製造業
- 味噌製造業
- 醤油製造業
- ソース類製造業
- 酒類製造業
- 納豆製造業
- めん類製造業
- 惣菜製造業
- かん詰又はびん詰め食品製造業(前各営業を除く)
- 添加物製造業
小麦粉とか営業許可いらない(各都道府県条例で制定されている場合があるのでチェック)
井戸水を使用する場合は水質検査を受けて、飲用適の水である必要がある
衛生管理のために、食品衛生責任者(保健所の講習を受けて取得/年2回)をおかねばならない(業種により食品衛生管理者が必要。添加物を扱う場合等に専門家が必要となる)
営業許可申請時に申請するもの
- 営業許可申請書
- 営業施設の周囲100mの見取り図
- 営業施設の構造を記載した図面
- 製造工程図
- 法人にあっては、登記簿謄本原本
- 井戸水使用の場合、飲用適の水質検査書
- 手数料
- 食品衛生責任者の資格証明書原本
食品衛生責任者の資格
- 食品衛生責任者講習会修了者
- 食品衛生監視員、食品衛生管理者の資格所有者
- 医師、歯科医師、薬剤師又は獣医師
- 大学の医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の過程を修め卒業した物
- 栄養士、調理師など、食品衛生指導員及び食品衛生指導員養成講習修了者
- 食品衛生管理者の養成課程を終了した者
HACCPとはなにか
- HACCPは、HA(Hazard Analysis,危害分析)とCCP(Critical Control Point,重要管理点方式)の二つの部分からなる
- NASAが宇宙食の安全性を確保するために考案した
- 食品の安全性を確保し、危険の発生を未然に防ぐ衛生管理システム
- 原料から小売りにいたるまでの各段階で発生する、生物的、物理的、科学的危害を分析(HA)し、危害を防止するために管理を行う箇所(CCP)を決め、監視する。
重要な施設・設備の管理要点
- 従業員の更衣室
- トイレ
- 従業員の出入口の設備
- 原材料、製品の搬出入り口
- 天井、壁、床、窓
- 排出口、ダクト、パイプ配管等
- 証明
- 給排気、空調
- 給水設備
- 食品廃棄物(生ごみ等)の保管
原則的にこんな形にしましょう↓無理なら運用で代用する事
従業員の更衣室
- 更衣室はできるだけ専用の部屋を設置する
- ロッカーは汚れた作業着や屋外での洋服と清潔な作業着が交差汚染しないようにしなければならない
トイレ
- トイレは手洗い場を通じて加工場に繋がっている必要がある
- トイレに入る場合に履物を変えるように
- 手洗い設備の蛇口は自動が理想。
- 洗剤、殺菌剤入れは蛇口の近くに設置
- 手拭きはペーパータオル推奨。好ましくはないがエアータオルでも良い
- 手拭きごは殺菌用アルコール噴霧等で趣旨の殺菌を行う
従業員の出入口の設備
- 入り口で作業靴に履き替える
- エアーシャワーでなく、粘着ローラーで確実に取り除く
- 静地四季の靴洗い水槽は好ましくない。自動の靴洗い機が好ましいが、水路を設置する場合は流水式にするのが良い
原材料、製品の搬出入り口
- 搬出入り口は暗室化し、高速シャッターで二重ドアが良い
- 二重ドアは両方が開放状態にならないように
- 黄色灯を設置して昆虫の侵入を防ぐ
- 二重ドアが難しい場合は防虫用シートを設置することで代替する
- 気温変化がないように、予備室を設置するのが望ましい
天井、壁、床、窓