本当にブランド化が必要なのだろうか

   

6ji

3月7~21日という長期間にわたって研修が開催されています六次化人材プロジェクト。
今日までで4日が終わり、残すところ11日となりました。
前半5日は座学研修。
残り10日が実地研修といって色んな所に出向きます。 

このへんで一度振り返ってみようと思います。

六次化プロジェクトって結局なんなのか
六次化プロジェクトは、六次産業化法という法律が2011年3月より施行され、それに関わるプロジェクトとなっています。
六次産業化とは、農林漁業者が事業の多角化・高度化を推進することにより、農林漁業の振興を図ると共に、食料自給率の向上に寄与することを目指している。
つまり、上手に多角化・高度化させることが出来れば、農林漁業者が潤ってさらに食料自給率も上がっちゃってメシウマじゃないのっていう概念ですね。


ただ、なかなかそれも出来ない。

そりゃ簡単にできてれば、こんなプロジェクトを法律をつくってまで動かす必要なんてないもんね。

今日はその、農林漁業者が潤うという所にのみ思いを馳せようと思います。

そもそもブランド化が必要なのは何故か

プロジェクトの発端にもあったように、このプロジェクトでは、農林漁業者の振興を図るためのものである。つまり、そこにお金がちゃんと回る状態を作るというのが目的だ。
今まで以上にお金が回るにはどうしたら良いか。
それは、生産物に付加価値をつけ、高値で取引が出来る事が必須であるということに論点が行きがちである。

本当に付加価値が必要なのだろうか?
JAは価格決定権が農家にないし、安い値段で取引されてしまい全く儲からない。
そんな話はもはや誰でもどこかで聞いたことがあるくらい有名な話だ。
付加価値をつけて販売するということは、そのJAという買い上げの仕組みを使わずに、よりよいものを作って販売していくルートを作り上げる。そういう話に普通はなってしまう。これは本当なのだろうか。
ここで湧いてくる疑問がある
  1. JAがもう少し高値で買いあげることが出来ないのかという点が一つ。
  2. どの程度収益が上がることが農林漁業者の振興につながるのかという疑問。

シンプルな話、JAが農家が必要だと思っている金額で引き取ることができれば、ブランド化なんて不要なのだ。ブランド化というのは、手間もかかるし、当たるか当たらないかは運もある、誰にでも必ず達成できるものではないため、正直なところロスが多い話だ。失敗すれば努力は水泡に帰する事になり、借金を背負い込む可能性だってある。

それであれば、全国の農林漁業者がそういうギャンブル的な部分に精を出すよりも、しっかりと生産物を作ってもらい、真っ当に消費する日本を作っていったほうが良いのではないだろうか。

ブランド化して高付加価値ばっかりじゃ困るよね
下手にブランド化してしまって、美味しい物が美味しいなりの値段になってしまったら、それはそれで消費者は困ってしまう。お米なんて毎日食べるものであれば尚更。トップレベルが上を目指すのは構わないと思うのだが、どんなお米を買ったとしても国産米ならはっきり言ってうまいよ。そういう普通な物からして美味しいという所にしっかりと寄与したほうが良い気がする訳です。
六次化プロジェクトには輸出という部門も入っています。
日本の農家が作るものは、圧倒的においしいよね。普通にあるものが全体的に本当にレベルが高いよね、という日本の農林漁業を作るためには、やっぱり農業に集中してもらうのが一番なんじゃないかなとか思ったりもします。

そこで気になるのは、農林漁業者の振興に寄与するにはどの程度のお金が必要なのかということ
この視点って、今のところ見かけたことが無いんだけど、六次化とかそんなのはどうでもよくて、現状の収入がどの程度あって、それをこれくらいになるように色々考えたいんですというラインが良くわからない。
現状では、農業のなり手が減っているし、それは儲からないからだろうなんて話はよく聞く。
じゃぁ逆に、農林漁業者がウハウハである、といった状態を作るにはどの程度のコストが必要になるだろうか。そういったアプローチの話題はないだろうか。
初日に聞いた話では、農業・漁業の市場規模は12兆円だそうだ。
これをいくらにすればいいのだろう。
農家一世帯あたりの収入が、どの程度増えればいいのだろう。

ブランド化・高付加価値化を狙う危険性
ちょっと前にも触れたけど、結局のところここを目指すのは、コストがかかる。
尋常じゃない努力をしてもブランド化に成功する訳でもないし、高付加価値といってもそれは消費者が認めてはじめて高付加価値になるものでコントローラブルなものではない。
つまり、リスクが高いんだよね。単純に言うと。
現行のシステムで潤うにはどうしたら良いかというと、結局JAがうまく販売し、利益を還元するという部分がシンプルなのではないだろうか。

六次産業化で上手くいくのなんて一握りだ
そもそも各都道府県に一つの認定事業と、そこに5名程度のプランナーが関わることになる。そのなかでどれだけヒット商品が生まれるだろう。
農林漁業の市場規模12兆円に対して、六次産業化がもたらすのは何%だ?
全国の農家数は175万経営体あるらしい。そのなかで一握りの成功事例を生むことが、果たして農林漁業の振興へとつながるのだろうか。

フードチェーンのどこかに利益が集中しているのか・していないのか
フードチェーンとは生産者から消費者までの道筋の事だが、この中で利益が集中する場所はどこかわかっているのだろうか。はっきり言うと、JAが高く買いあげてくれるシステムが出来れば、ブランド化なんてギャンブルはそもそも必要ではなくなるし、生産者はやっぱり生産の方に集中が出来るようになる訳です。
そうすれば、もっと新しいことにチャレンジして、それはJAを通さずにどこかに直販なんていう選択肢を与えることもできてしまう。
JAの買上金額を上げて農家にお金を回し、どこかの利益分を圧迫しながら業界のバランスを取るみたいなことは出来ないのかな。そんな余裕はないのかな。だとすると…

消費者にしわ寄せが来るのは難しい
フードチェーンを洗ってみたら、誰も極端に利益を得ているものはおらず、みんなヒーヒーいっているという状態がわかったとしよう。
そうなったとしたら、あとはそれを消費する消費者に利益負担を強いることになるだろう。
ただ、それは難しいのだ。
ここでTPPという概念が出てくる。
つまり、関税が0になるというもの。
今まで高い関税をつけて保護していた作物に関しては、海外から安い値段で(しかもおいしいかも)入ってくる。ただでさえ安いものが入ってくるとなると、今まで買えていたものの

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