数年後の理系大学生を想像する:近未来の大学の在り方の提言
磯貝と話をしていた時に盛り上がったことがあって、そんな話。
人との出会いが私をドライブさせる:磯貝里子
元々は、研修の話をしていたんだけど、そこから派生して理系大学生の未来について想像が膨らんでいった。
就職率より留年率か?
僕が大学生だったのはもう10年も前の事だ。当時の電気電子は就職に困ることなんてなかったし、電機メーカーも元気な会社が多かったと思う。
\SONYに就職かよスゲー!/
みたいな感じで、各々就職活動をしていたし、就職率もほぼ100%に近かったはずだ。
10年が経ち、時代は変わったようだ。
そもそもの留年率が上がり、卒業見込みがとれる人数が100%ではなくなる。そして、卒業見込みがとれている人の中でも100%が就職が決まるわけではない。全体から見ると就職率40%なんて大学もあるという。思わず、理科大かよ!と突っ込んでしまった。
ボクらの時代には、優秀だろうがそうでなかろうが、ある程度の勉強はしていたし、留年するってことはよっぽどサークルにはまらないとなかった。今は違うらしい。
普通に卒業出来ない人もいるとか。何だろう、モチベーションが無いんだろうか。根っこはまだ見えないが色々と考える余地があると思う。
本題に戻る。
優秀なヤツがもっと優秀なコミュニティに飛び込んでいける時代の幕開けか
先日のAppleの発表には、割りと興奮した人も多いのではないかと思う。
iTunesUとiBooksAuthorの発表だ。
いずれも、学習という要素を飛躍的に伸ばす可能性がある。
教育というのはもはや人類のインフラだ。それは共有され、イノベーティブな人材を輩出する可能性を挙げていかねばならないとでも言うような発表のように思えた。
大学の知とは何か。学校に集まる意義とは
これから電子教科書の普及は確実に進むだろう。重たい教科書を持ち歩く時代はそのうち終わる。図書館に蔵書されている書籍は、電子媒体に置き換えられ、図書室なんてものは不要になる。その空間は何かに置き換わるだろう。調べ物はオンラインですぐに出来るだろう。
そしてなにより凄いのは、自分が調べたことをまとめて発表するのが容易になるのだ。これは革新的だと思う。 小学生が、中学生が、高校生が。学校で調べたことをパブリッシュし始める。
iBooksAuthorで書かれたファイルはサーバーに置いておけばダウンロードして閲覧可能だし、上手くタグ付・評価するようなサービスが現れれば、教育現場で活用される道筋はなんとなく見えてくるだろう。
一方、大学の位置づけはどうなるだろうか。
大学は、全入時代と言われて久しい訳ですが、こと理系に関して言えばその中からイノベーティブな研究者を生む確率ってそんなに高くない訳です。もはや箱が多すぎる事はわかっている。
授業にしてもオンライン配信の数はどんどん増えていくし、自分がとっている授業に関連した授業動画をレコメンドしてくれるようなサービスだってきっと出てくる。(iTunesUがやってくれるか?)
優秀な学生は、今受けている授業では飽きたらず、より面白い・先端を行く授業を取り込み始めるはずだ。
Facebookのソーシャルグラフ対応アプリが出来れば、この人はこれの勉強を完了しました。みたいなものを表示する事も可能だろう。ドットインストールがソーシャルグラフ対応するとそんな感じになるんじゃないかなとおもう。
ベーシックサイエンスの授業なんて、全てオンラインでやってもいいんじゃないかとさえ思う。
余剰時間を好奇心の拡張に使え
大学1年でやるような授業は極端な話、一回目だけ先生が話をして後はオンライン教材で、なんてことも可能なんじゃないだろうか。生物学の基礎なんて、何十年も前の教科書が未だに使われているなんて話も聞く。そういう変わらない部分は、先生だって毎年同じ授業なんてやらずにオンラインで学んでもらえばいいんだ。そして、そこで上がる疑問もオンラインに集約してしまえばいい。君がわからないことは先輩がわからなかったことだ。みたいな感じ。
テストだってオンラインでやる。大学生がカンニングして優秀な成績とったって、誰のためにもならない。留年しない程度の話だ。別にそれは構わないが、中身のない人間が社会に出られるハードルはものすごく高くなっていると言うことは先述の通りだ。その辺は割りきってしまえば良い。
授業を担っていた先生にも時間が出来て研究が進む。
学生は、オンラインでどんどん授業を進められるから、1年間だらだらと授業を受けるなんて必要はなくなるんだ。3年分の授業を半年でやってしまって、研究に進む事も可能だろうし、余剰時間をどのように使うかはその人に任せてしまえば良い。ただ、だらだらと4年間を過ごすという可能性は減るだろう。
きっと大学という物自体はなかなか変わらないのだろう。
どちらかと言うと変化が訪れるのは学生の方だ。自分の大学だけではない、大きな知へのアクセスが確保されるという事に恩恵を受ける時代が間もなくやってくる。
社会人が学び直すという事
昔良く、社会に出てから大学に戻ると勉強が楽しくて仕方ないみたいな話を聞くことがあったが(最近あんまり耳にしない)その学生に戻るみたいな事も、モチベーション次第でオンラインでなんとかなる時代は既にやってきてるんだなと思った。必要なのは、カリキュラム的なものかもしれない。
上質なコンテンツを、体系だてて見られるような道筋を作ってくれれば、それをひと通り見れば、自分が欲しい知見は手に入るというのは、なんという高速道路なのかと、残り時間が無くなってくる大人たちは考えることだろう。
最後に、リバネスが出来ることは何だろうか
僕らが行なっている事は「科学技術の発展と、地球貢献を実現する」という事だ。
こういう時代がやってきたとして、我々が出来ることは何だろうか。
今言えることはひとつ。
やってきたとして、ではなく、我々がリードする事でそういう時代を作るという事なんだと思う。
こういう時代がやってくることで、サイエンティストへの知の集約は確実にスピードを増すし、低年齢化が進むはずだ。IT業界では、中学2年生がRubyの最年少コミッタになるみたいな話しも出てきているし、活躍する人材の幅は確実に広がっていくだろう。
情報やコンテンツはどんどんデジタル化されていく。
次に必要となるのは、その活用方法の啓蒙だろう。
そのへんに関して言えば、リバネスの冊子教育応援で先生方に啓蒙するような事も可能だろう。
世界は今どうなっているのか。教育の流れは?
サイエンティストに時間を与えるようなサービスとは何だろう。そんな事を考えて話しをしていたら、ランチタイムがあっという間に終わっていましたというそんな話。