ハッピーリタイアは止められない
文化が廃れていく時に起こることはなんだと思いますか?
例えば、その文化の一翼を担っていた人たちがいなくなっていく。そういうことが挙げられると思います。
これにはいくつかのパターンがあり
- 高齢化による引退
- 倒産による退場
- 居づらくなった事からの他地域への移転
などが考えられます。
今回の話は、これらの中でも1の「高齢化による引退」&「後継者がいない」&「無借金経営」というパターンのお話をします。
リスペクトと文化の承継と
65を超えて、後継者がおらず、無借金経営という場合、なんでその文化の担い手が仕事を続けているのかというと、
- プライドが突き動かす
- クライアントに頼み込まれて
- 仕事をすればそれなりにお金になるから
などの理由を聞くことができます。
地域から文化が消えつつあるという事を認識し、それについて何とかしたいと考える場合は、ある地域という大きなくくりで未来を考えることになる訳ですが、その対象となる文化の担い手から見れば、自分の人生は自分個人の事でしかなかったりします。
よっぽど由緒正しき文化。それこそ1000年続くようなものであれば全く違うのだろうと思いますが、現在携わっている町工場やらものづくりやらというような事業者ですと、一代目の方も少なからずおり、自分の世代で終わりだなというような事を耳にすることも少なくありません。
一代とは言え、その地域の事業を創出し、儲かっている時には税金を収めてきた事業者の皆さん。
70をこえて、後は静かに暮らしたいんだよねという気持ちは当然のことなのではないかと思ってしまう自分がいます。
でも、それでは文化は承継出来ない。だってその文化を担っていた人がリタイヤしてしまうのだから。
ハッピーリタイアはやっかいなのだろう
今でも順調に利益を出しているような事業者の場合、話を聞いてみると当然前向きに生きていることがわかる。借金を抱えているような事業者とは違い、後継者を必死になって探す必要はなく、ましてや今の生活が火の車という訳でもない。
町工場の場合であれば、工場の土地をマンションなどに立て替えてしまって、家賃収入で生きるような道もあるわけだ。駅前一等地なんかは地上げ屋に常に狙われている。
こんなハッピーリタイア組を引き止めるのは難しい。何しろビジネス上のメリットを提供することは出来ないのだ。文化がなくなってしまうので、何とかしたいというハートに訴えかけるという道が唯一残された道じゃないかとは思うのだが、それもやめてしまえば関係ないよねと、次の人生に目が向いている場合もあるので、文化を残したいと思っている側からみれば厄介な状況だと言えよう。
何しろ、その人を引き止める事が出来る要因があまりに少ないのだ。
その地区の文化を残していくという時にハードルになるのは、最後は人の心の問題なんじゃないだろうか。前向きに捉えるべき状態も、立つ位置によっては祝うことが出来ないという事は往々にしてあるよねという事を、地域活性という視点から見て感じた今日このごろでしたとさ。
以下、過去の墨田ネタ