レッドブルを売るだけで、なぜF1に参戦出来るのか

   

「レッドブル、翼をさずける」

日本国内に入ってきたのは2005年の12月だそうだ。レッドブルの缶を背負ったミニ,通称レッドブルミニが街を行き来し、レッドブルガールズがレッドブルを配っていた。それを目にしたのが最初の出会いだったと思う。25歳の冬。デジハリ大学院に通ってた頃だから御茶ノ水で見かけたのかもしれない。

こんな本がある。

レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか

確かに気になる部分だ。

僕自身は実は、こういうたぐいのドリンクにはあまりお世話にならないのだが(体質だろうか、飲んでも眠いんだよね)F1で見かけたり、エアレースをYouTubeで見かけたりと、ド派手な事をやっているこのメーカーの事について気にならなかったといえば嘘になる。(そして読んでみてわかるのだが、彼らはメーカーではない)

実は今年のはじめに、レッドブル向けに企画書を書いて送ってみたことがある。結果的には「レッドブル的じゃない」という事でモノにならなかったのだが、この本を読んでみてその理由がわかった気がする。

レッドブルという会社について知らなかったこと

レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ」と、レッドブルの創業者であるディートリッヒ・マテシッツが初めて配布したプレゼン資料に書かれていた。

それですよそれ。そのフレーズ大事よねと勝手に共感するのが本書の冒頭なのだが、そこからレッドブルについてのいくつかの知らなかった事実を知ることになる。

  • このドリンクの発想元はリポビタンDなんだと
  • レッドブルはブランド管理会社で、ドリンク製造・販売・流通は各々委託してるんだと(そうだったのか!と驚きましたが、後者については業界スタンダードだそうです)
  • レッドブルは新しい会社だと勝手に思っていたが、実は創業から25年が経っている
  • 彼らはマーケティングのプロであり、そしてマーケティングのプロである

なぜ52億本も売れるのか

これについては、多分に運やタイミングの要素も含んでいる。同じ手法で今から同じブランドは作り上げられない。

ただ、この本で面白い部分は、そのブランドの作り方、守り方、ビジネスと個人としての経営者の在り方といったあたりだろう。

ディートリッヒ・マテシッツのやり方。それが単純に面白い。

個人的に、アプローチとして参考になった部分は、人材育成への投資だった。教育は間違いない。

彼らが売っているのは、「レッドブルというドリンク」ではない。そこに関わるエキサイティングな体験だ。

これこそが付加価値であり、この10年くらい色んな所で耳にたこが出来るくらいに聞いた気がする。

原価を考えたらあり得ない値段がついているが、それは当然なのだ。買っているのは体験であり、レッドブルはその体験を向上させるために多くのサイドストーリーを用意する。それが徹底的に成功しているのがレッドブルなのだ。

この本で面白い部分は多くの失敗談を含んでいる事

レッドブル社や、その関連会社、ディートリッヒ・マテシッツ個人の会社等、多くの会社とビジネスが掲載されている。

その中には成功したものもあればもちろん失敗したものもある。数だけで言えば後者の方が多い印象を受けるくらいだ。

ブランドを育ててきた

徹頭徹尾、ブランドへのこだわりが説かれている。

この25年、どのように育ててきたのか。どんなやり方で。どんな場所で。誰と。

世界的ブランドの育て方の一例として頭に叩きこんでおくのは良いと思う。

ブランドを構築するという事をやっている人なら、読んでおくべき書籍だろう。

一朝一夕に成り立つものではないが、自分の人生をそういう所に賭していくのであれば、必読だと思う。

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