これは熱い!慶應大学物理情報工学科の取り組みは全大学で真似るべき
先日、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科の伊藤公平先生のところに取材に行ってきたのだが、色々お話頂いた中で、記事に載らないことが多いのでこちらにまとめることにする。
理工系大学の未来
iTunesUが発表された時から常々思っていたんです。日本でも授業配信という取り組みをどんどんやればいいのにと。
慶応大学ではここ数年で、授業をYouTubeにガンガンアップしている。
一覧はここをチェック
必修授業は殆どアップ済みだとか。
伊藤先生の授業では、授業のみの配信ではなく、授業でだした宿題に対してのヒント動画なんかもアップしたりするらしい。これは面白い取り組みだ。
優秀な学生を集めるために
伊藤先生の授業は見ての通り英語でもやられているのだが、アメリカの企業内で紹介されたこともあり再生回数が劇的に伸びたとのこと。そうやって日本の大学の授業風景が世界にシェアされていく。
それは結果的に優秀な学生を集める為のフックになるに違いない。
伊藤先生が言っていたが、授業を配信する事によって、先生側も気合いを入れざるを得ないし、授業のクオリティが上がったと。それって重要なことですよね。
YouTubeを使うことのメリット
伊藤先生に聞いて面白いなと思ったのは、コメント欄の事。
授業に対して突っ込みが入ったり、これ間違ってませんか?という指摘を、他のユーザーが、いやいや最近の学説ではこうなってるんだよという補足情報を書いてくれたりと、YouTube上で議論が始まるということ。
授業を出たところで、更に何かが積み上がっていくというのは、誰もが使い慣れているYouTubeだからこそ出来るといってもいいかも知れない。
加えて思ったのは、YouTubeにあげてしまうことで、動画をブログ等に貼り付ける事が可能になる。
更に情報を追加することも可能だろうし、授業のまとめブログなんてものを書く学生なんかもうまれてくるかも知れない。
どうやってこのチャンネルが始まったのか
伊藤先生いわく、とりあえずやっちゃったんだよ。ということらしい。
学生時代にカリフォルニア大学バークレー校に留学していた伊藤先生は、その当時に体感した「とにかく突っ走る」というスタイルが重要だと考えている。その体現がこのチャンネルだろう。
今では公式に慶応大学チャンネルになってるもんね。
他の大学でも、とにかくやってしまえばいいのに。
確かに、理工系大学の未来の姿だと思うが、これをこなした次の未来に向けて早く飛び立つ事が出来ればなと思うわけです。(あ、もちろんやってる大学があることは知った上でのコメントです)
参考(オープンコースウェアで検索すると出てきます)
大学の授業がインターネットを介して見れちゃうなんて、自分の高校時代には全く考えられなかったもんなぁ。今の学生はこれを見て何を感じるのだろう。
多様な文化を体験できる環境を作る
伊藤先生が留学時に体感したのは、アメリカという環境で、多種多様な人種と文化を超えて議論し、強調し、競争し、交渉するという事だと。
ただ、この経験が、今の自分を作っているし、それが世界を引っ張っていく人材を作り上げているのは間違い無いと言っていた。
ただ、それはアメリカにいかなきゃできないというものではないんだなと思わされたのは、伊藤先生たちが慶応大学で創り上げた仕組みにある。
T.I.M.E
https://www.time-association.org/
というネットワークに慶応大学は属している。
これは、このネットワークに属している大学間でダブルディグリーが取得できるようにするという取り組みらしい。
日本では慶応大学と東北大学のみが加盟している。
優秀な学生をラボへ呼び込む
現在慶応大学では、ミュンヘン工科大学、ルンド大学(スウェーデン) ミラノ工科大学、マドリッド工科大学等と提携。これら提携大学では修士号取得時に1年を現地の大学で。2年を慶応大学で過ごし修士号を取得すると、両方の大学での学位を取得できる。
これが功を奏して、欧州からの優秀な留学生が増加。
伊藤先生のラボのサイトをみると分かるのだが、留学生の多さに驚く。
仕組みを作ることで、優秀な留学生がやってくるのだ。
そういう機会をとにかく作り出すというところに尽力しているというのが伊藤先生の面白い所だと言えると思う。